20/05/08 08:47

自分で守る

今は他人任せは駄目、辛いことですが、他人は一切信用せず、自分で自分の身を守ることです。日本でも基本は同じで、ピンキリです。使うのを躊躇うところから、気持ち良く使えるところの差があります。一般論ですが、有料トイレ以外の公衆トイレは・・・・でしょう。レストランやショッピングモールはまず大丈夫。列車は高速鉄道以外は使おうと思ったことはありません。イタリアやスペイン、フランスならカフェで、飲み物注文して利用するというのが一般的だし。でも背に腹はかえられない場合は、緊急事態ですので、そのような時でも対処できるように準備することです。

私は以前からトイレのハンドドライヤーは使ったことがありません。電力の無駄だし、これも客がとるビッフェ形式の食事と同様に今後消え去るもののひとつかも知れません。以前から除菌用ウェットティッシュを使っていたのですが、今は携帯用のハンドスプレー容器(これもあっと言う間に店から消えた)に消毒用エタノールを入れて便座を拭きます。70%以下なら100 ml容器でも国際線機内持ち込み可能なので、66%程度にしておけば大丈夫。50%でも効果はあります。でも20%は抗ウイルスとしてのアルコールの意味はないでしょう。

問題の新型コロナの場合ですが、実はこれが盲点だった可能性はあります。
The Lancet Gastroenterology and Hepatology March 19, 202
Prolonged presence of SARS-CoV-2 viral RNA in faecal samples
陽性患者の呼吸器(喉拭い液)および便からのサンプルを1-2日おきに(便が毎日とは限らなかったためとか)採取してRNAを検出し、二回連続陰性になるまで調べたた結果です。これを1月16日から翌月26日まで継続したという点に脅かされます。まだ、日本が対岸の火事で、クルーズ船も他人事と騒いでいた時期です。76名のうち便陰性は45%で、その患者は呼吸器中RNAは平均で約15日間陽性だったのに対し、便陽性は55%で、そのような患者は呼吸器中RNAは平均で約17日間陽性で多分有為差なしだが、便中RNAは平均で28日陽性。一人の患者は47日間便中RNA陽性が継続した。なお、ゼロ日は発症日なので、実際には50日以上、最悪二ヶ月です。もっと興味深いのは、呼吸器と便からのRNA検出がほぼ同時期な患者もいるものの、多くは呼吸器から数日以上、少なくない患者は呼吸器からのRNAは陰性となってから1~2週間経過してから検出されています。また、その時点での記載ですが、それまで便から経口感染例は報告されていないということです。以前にも書いたのですが、呼吸器由来(鼻水や痰)での感染実験(人は使えないので、あくまで細胞レベルです)は成功していますが、便からの感染に成功した例はないと思います。ですから、便から感染するか否かは不明です。尿と異なり、便は血液経由ではないので(胆汁酸でウイルス粒子は破壊されます)、ACE2が一番多く発現している小腸由来でしょう。

Aerodynamic Characteristics and RNA Concentration of SARS-CoV-2 Aerosol in Wuhan Hospitals during COVID-19 Outbreak
ここでは、院内でのエアゾル粒子分布を調べていて、管理区域の医療従事者詰め所には0.01μの微粒子(ほぼウイルスそのもの)から5μのものまで同等に分布しているが、より管理された部屋では、着替え室では、N95でないとトラップ不可能な0.25-0.5μのエアゾルだけが見られ、さらに一般エリアで一番汚染しているのがトイレだったこと。さらに、感染研の調査でもバスルームトイレ下の床の汚染が一番だったことから、にわかに便が注目されています。

SARSの時の香港での集団感染が、一人の感染者の部屋からの下水がエアゾルとなって他の部屋に拡散したのが原因とされています。トイレの場合も、直腸粘膜から感染よりは、水洗時のエアゾルは感染源になるし、やはりハンドクリーナーはエアゾルの温床ですし、手を洗わないことは感染要因としては極めて大きいと思います。ACE2の発現には雌雄差なしらしいので、やはり生活様式(生活習慣と単純な性格)が要因なのかも知れません。

ウォシュレットは感染要因を減らすので、今後は世界標準になるかも知れません。当然、スイッチには直接指を触れないこと。例えば、トイレ用に使い捨て手袋を使うとか、ティッシュペーパー一枚あればそれでも大丈夫。

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1件のコメント

  • 死亡率の国ごとの違いの大きさ

    このジョンズホプキンスの死亡率の国ごとの違いの大きさ(4桁 100/100K から 0.01/100K)に驚いてます

    https://coronavirus.jhu.edu/data/mortality

    こんなに普通(インフルエンザなど)違うものなのかと驚いて、見つけたのがこのサイト (ちょっと怪しげですが、結構まともそう)。

    https://www.worldlifeexpectancy.com/cause-of-death/influenza-pneumonia/by-country/

    インフルエンザでは2桁ぐらいしか違わないです。

    これをみる限り コロナの死亡率の高い低いはインフルエンザの反対で、 高い先進国とよばれているようなところが高く、 インフルエンザでの死亡率の高い後進国といわれているようなところではまだまだだというのがよくわかります。 コロナもインフルエンザも両方低いのは日本だけのようですね。

    このちがいの 大きな要素は人間のモビリティだろうけど こんなのをみていると、インフルエンザとは死に至る経路がなにかちがうようにおもえるのですが。 逆に汚いような便所は気を付けて使うので、かえってOKなような気もしますが。 たぶんいろいろな要素があるのでしょう。 コロナも1種類じゃなくて、 刻々と進化を続けているようで、アメリカ国内でも東海岸型とか西海岸型とかができたようです。

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    20/05/09 12:31

    震源地ではなくこれから

    確かに、他の病気が多いので、自然免疫が強い(先進国の人は直ぐに腹をこわしたり、実際に食中毒になったりする)という可能性はなくはないのと、多くの国が呼吸器のウイルスには必ずしも棲みやすいと言えない環境(強毒型トリインフルエンザがインドネシアで拡大したのは別の理由)等もあるでしょうが、感染拡大はこれからなのと、統計の不正確さ、特にCOVID-19以外での死亡が多すぎるのでそれに埋没している可能性は無視できないと思います。さらに、国連によって後発開発途上国と言われる、下記の論文ではLow income countriesとされている国では高齢者は生き残れないという状況も関わってくるでしょう。

    また、中国、香港、台湾と中華圏とその周辺の韓国とベトナムもほぼ制圧したのと、周辺に大きな影響を与えるタイもかなり頑張って(国の緩さからは意外でした)制圧できているのも大きいと思います。これらが複雑に絡み合った結果でしょう。五輪開催が危ぶまれいるのは、発展途上国よりも下位の所得の国での感染が収まらない限り参加が見込めないから。これは、日本の連休中に、「都会人は田舎に来るな」と言われたのと同じことで、今後は、本来高収入の国からの観光客には来て欲しい国でも、それを許せば、感染爆発もありうると言うことで、やはり観光業も様変わりする可能性はあると思います。

    国内でも都道府県によって随分異なります。東京だけでも偏りがあって、院内感染を除くと、多分、欧米からの帰国者と欧米系住民の多いエリアに集中しています。全国でも中国からの観光客の多さとはすでに関連性がなくなっています。仙台が少なく、金沢が多かったり、東京と愛知との間は少ないなど、県民所得や人口密度、さらに観光とも相関はないと思います。日本は東京が一番の問題なのでしょう。

    詳細は、
    www.brookings.edu
    PDFが、
    Tracking COVID-19 as Cause of Death: Global Estimates of Relative Severity

    Web版は、
    The unreal dichotomy in COVID-19 mortality between high-income and developing countries
    Philip Schellekens and Diego Sourrouille Tuesday, May 5, 2020