日本には陸の国境が無いので、「国境」という言葉には魅力を感じる。
西欧のEUの国どうしの国境は、私の体験した限り、今や道路端に国旗の看板があるだけ。
今回の旅行ではスイスとフランスの国境付近を2回行ったり来たりして、合計4ヵ所の国境を通過した。
スイスはEUではないので、検問所があり係官も居る。パスポートや荷物のチェックもするかと思いきや、何のチェックも無く素通りのケースと、あってもごく簡単になっていた。
強いてあげれば、スイス側で入国はチェックする、そんな感じだった。
3箇所は、道路に検問小屋があって、やってるんだかないんだか、という程度。4ヶ所目の国境は、フランスのフランシュコンテ地方からスイスのジュラ地方に向けて、D437を通り、Goumoisという町の谷間を流れるDoubs川に架かる橋だった。橋の両側にフランスの国旗と、スイスの国旗。両側それぞれに検問所があり係官が居た。
僕ら夫婦はこの日、手頃なホテルを探しながら車を走らせていた。気に入った宿が見つからずに、フランス側からこの橋までやって来て、
「川の向こうにホテルがあるよ。でもあれ?ここは、国境みたいだ。」と言いながら止まらずにこの橋(国境)を通り過ぎた。
道は橋の所でカーブしていて、国旗は見えたが検問所は死角になっていて見えずに、停止ゲートも無く、道路によくわからない停止線が、引かれているだけだった。そして、ホテルにばかり目が行っていた。
このホテルが気になり、検問所そっちのけで、この国境の橋を2回往復してしまった。
結局、この橋のたもとの、小さな2階建てのホテルに宿をとった。
ホテルと検問所は10mほどで、通る車はみな一度停止しているのが良く見えた。何もない車もあれば検問を受けている車もある。中にはトランクを開けさせられている車もある。いろいろだ。
私の場合は、何だったんだ???。きっと、アジアのまぬけオヤジが、うっかり通り過ぎたが問題ナシ!、と判断したんだろう。(苦笑)
「ここが国境なんだ~!!!」とホテルの部屋の窓からほんの10メートル先に見える川を見ながら思った。
国境といえば、ライン川のバーゼルやシャフハウゼンも、コルマールの東も国境だったが、大きな川はあまり実感が湧かない。
ここは田舎の狭い川で、実感が有ると感じた。そして、国境のホテルに宿泊したのは初めての経験だった。Doubs川は水かさを増して、陶々と流れていた。
夕食もこのホテルの庶民的なレストランで、川マスを食べ、思いのほか美味かった。ここの働き者の年配のマダムも感じ良くて、何だか嬉しいような、いい思い出になった。
女は現実的だけど、男はちょっとした事でも、ロマンを感じる。男は繊細だ。
こんなこと言ってるから、蹴られるのか?