レポート

大同、フフホト、パオトウ、銀川、そして蘭州  -大黄河をめぐる旅1

公開日 : 2005年08月30日
最終更新 :

大同火車站 、侯車室。
ここで時間を待つのは嫌いではない。
チケットは、大同発銀川(寧夏回族自治区)行きK43次列車新空調硬座快速。18:11分発。この列車は、フフホト、パオトウを経由して、銀川へ向かう。
終着は、嘉関峡だ。
大同の時間を十分に楽しんだというよりは疲れた体は、次の鉄道の旅を期待している。
侯車室で発車時間を待つ人々も、顔つきや荷物ががずいぶん違う。
これも楽しみだ。
特に、この列車を末人々の顔には、モンゴル系の顔立ちが目立つ。
と勝手に思っているのだが。
売店で、やっと全国鉄路時刻表を買うことができた。
10元。
やはり、鉄道の旅では必需品。
荷物の少ないみなみやま的海外旅行では
少しかさばるのが困るのだが。
売店には1冊だけ置いてあった。
「シーコピャウ!」(ハングルではシガンピョ。似ている)というと、
「シークアイ」と帰ってくる。
10元札を出すと、売店の女性が笑いながら、下段のケースから、新品の別の時刻表を出してくれた。
中国らしからぬサービスだ。
嬉しかった。

列車に乗り込む。
これから見る車窓は初めての風景。
列車は発車した。
耕地は少なく、草原が続く。
あちこちで見られる羊たちの放牧。
所々には、天然の池も見える。
驚いたことは、その湖畔に、カラフルなテントを見ることがあるからだ。
すでに、一部だが、アウトドアの遊びも普及しつつあるらしい。
次第に、日が落ちてゆく。
今回の列車は唯一空調ありの列車だった。
中国の鉄路もずいぶん空調ありが増えた。
その分運賃も上がっている。
それでも、乗客は、減らない。
決して豊かでない中国だが、どうして彼らにそんな費用が払えるのか、それも家族連れを見ると思ってしまう。
煙台からのフェリーの中で求人広告を見た。
その中で、金額が印象に残ったのは、給料1ヶ月700元という数字。
そんな中国で、100元近い列車の切符をどうして買うことができるのか?
疑問も持ちながら、見ていた。
列車の中では、中国で購入した3元の茶ポットに5元のお茶の葉を入れて飲料にした。
そのお茶を入れようと、給湯場所を探したが、空調無し列車のある場所にはないのだ。
うろうろとしていると親切に!!女性車掌が給湯場所を教えてくれた。
車内では男でもしかりとばす女性車掌だが。(笑)
いわゆる日本でも見るボタン付きのコンパクトな給湯機がそこにはあった。
また一つ中国で新しい知識が増えた。
その湯を使って、夕食替わりにカップ麺を食べた。
だんだん列車のなかで中国人の同化している自分がおもしろかった。
しかし、中国人の中の外国人であることには違いない。
この列車でも、同席の人たちとはぬかりなく仲良くなったみなみやまだった。

そして、何度か繰り返される、駅への停車と、乗客の入れ替わり。
どんどんローカル性をましていく。
深夜になっても乗客は減らない。
フフホト、パオトウと駅の名前を聞くことができた。
乗り込んでくる人たちの顔つきや服装も替わってきたようだ。
しっかり日焼けした農民の人たちが増えたのも確かだ。
硬座の中は、夜中中にぎわっていた。
そんな喧噪の旅も終わりつつあった。

そして、夜が明ける頃には草原の風景は一変していた。
広大な乾燥地が延々と続くのだ。
すでに、寧夏回族自治区に入った模様だ。
初めて見る広大な乾燥地帯。
とにかく。・・・・・・・。感動。
その地平線から朝日が昇る。
大きな朝日だ。空の青さが増す。
同席した他の乗客も、同じように昇る朝日を見てくれたのは嬉しかった。
そのうちに、線路の右側だけ緑の畑が見えだした。
トウモロコシ畑だ。
何故?
その疑問はすぐに解けた。
水路が遠方から延々と続く。
水が人工的に引かれているのだ。
荒涼と広がる乾燥地帯と緑の大地、そして空の抜けるような青。
飽きることなく景色を見続けた。
やがて、7時過ぎにほぼ定刻に列車は銀川火車站 に着いた。

銀川は三門峡で大きく北流した黄河が、黄土高原を抜けて再び、南流する川の近くに位置する。
 時刻表を買ってみて初めてこの列車は、蘭州を経て西域の敦煌の手前の嘉峪関まだ行くことを知った。あと半日以上走り続ける。
蘭州まで、行くのになぜ手前の銀川で下車するのか?
その辺の疑問には次で答えようと思う。

例によって、改札で使用済みのチケットをゲットした。

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1件のコメント

  • 銀川から寧夏回族自治区を走り抜ける -大黄河をめぐる旅2

    煙台で中国入国して大連から大同までが1194㎞、大同~銀川870㎞~500㎞~甘粛省蘭州までが1370㎞、船を入れると約2800㎞を5日間にして走り抜けたことになる。
    自分なりにも行きあたりばったりで良くここまで来た。大満足だ。
    さて次はどこを目指すか??
    元々、旅行プランをHPでみなさんに公開した段階では、フフホト、パオトウ(包頭)で引き返すことになっていた。
    しかし、実はさらに中国の内陸部(注:西域や奥地は考えていない)まで足をのばす野望があったのだ。
    行けるかどうかは、行ってみないとわからない。
    その第一歩が、今到着した寧夏回族自治区の銀川まで来ることで、大同到着とゲットしたこの銀川行きチケットだった。
     では、何故次の行き先が蘭州なのか?
    それは、昨日買った中国鉄路時刻表と大同の本屋で買った『中国公路管運里程地図冊』(省別道路地図・高速公路地図)を決めたのだ。
    理由1:銀川から陝西省宝鶏までの鉄道を考えていたが、列車の本数が少ない
    理由2:蘭州までの高速道路がある→昼間の高速バス利用が可能

    では、銀川に降りた理由は、寧夏王陵があるらしいくらいだった。(汗)

    さて砂漠の真ん中の銀川火車站の改札を出た。

    客引きをする人たちがウイグルの人たちのようだ。
    みんな良く日焼けしている。
    都会の人たちの顔と違う。
    客引きの群れをかき分けてとりあえず公共汽車に乗ることにする。
    ちらっと、目に入ったのが現地旅行社の「寧夏王陵旅遊30元」の宣伝文字。
    次に来た時には、行ってみようくらい。(次また来るのか!・・・)

    バス停らしきものが見あたらない。
    少し歩くとバス停があったが、系統図を見てもさっぱりわからない。
    マイクロバスがやたらと多い。
    ここで昨年の山西省のバス旅行の経験がよみがえる。
    当たって砕けろ。
    もう一度火車站 方向へ戻り、道路を渡ってやってきた1路表示のマイクロバスの車掌に声をかける。
    「銀川長途汽車站!!」
    一瞬彼は首をかしげたが、(車掌は少年!と見えたが、そこそこの年かも知れない)、乗れという。
    だから乗った。(笑)
    「多少銭?」「リャンクァイ!」
    2元?高いなぁ。でもガイドブックには、火車站(新市街)と旧市街はかなり離れているという。
    まだ時間も早い。
    ここは運に任そう。
     これでも公共汽車(公営バス)だ。
    車掌の彼は、バス停が近づくとドアを開けて身を乗り出して客を呼び込む。
    かけ声は「ラララララララ!」
    客がいるとバスを止め、怒ったような顔で客を指定した席に座らせる。
    彼は、バス代の紙幣の束をを手に握りしめ、客から運賃をもらう。
    時々、札束を並べ替える。
    だから、彼は、コインを嫌う仕草をする。
    地方では、やはり紙幣が流通する理由がここにある。
    中国の地方では、このような車掌のいるバスがまだまだ多い。
    これも慣れると便利だ。
    しばらく、彼と乗客と道路沿いの人たちを熱心に観察することにした。
    果たして、無事長途汽車站にたどり着くかどうかは二の次だ。

    道路は、片側2車線の広いきれいな道路(銀新北路)。
    公共汽車はぶっ飛ばす。
    時間はちょうど出勤時間。
    ただし、後で考えるとこの日は日曜日。
    結構女性客も多い。
    その彼女らが美しくまぶしいのだ。
    髪が黒髪で、髪を頭の後ろで無造作にくくっている。
    ズボン(パンツ)姿が多いが、すっと伸びた足がかっこいいのだ。
    それでも、それぞれおしゃれはしている。

    そんなことをしているに、バスはずいぶん直線道路を走り続けたと思う。
    市街地にバスは入っていった。
    しばらくすると、バス停でもないのに、車掌の彼がバスを止め、突然ここで降りろと言う。
    ちょうどロータリーと公園のようだ。
    少々うろたえて「汽車站?」としろどもどろ。
    それでも、彼は、バスを降りたみなみやまに再度、無言で建物を指さしてくれる。
    バスはそのまま、発車した。
    良く、建物を見ると銀川汽車站の文字が見えた。
    遠くには鼓楼の姿を見ることができた。

    さて、次は蘭州行きの高速バスがあるかどうかだ。
    とりあえず、銀川長途汽車站の薄暗いがらんとした建物の中に入った。













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    続・銀川から寧夏回族自治区を走り抜ける -大黄河をめぐる旅3

    銀川長途汽車站の中。

    時間は朝8時前。
    售票処の窓口のうえには大きな時刻表。
    蘭州の文字がある。時間は8時半。
    おっと、と窓口に。
    窓口の女性も8時半といったが、100元札を差し出す。
    で、出てきたチケットは9時発。
    両方ともおやっと思ったが、彼女も時間を訂正したようだ。
    まずまず成功だ。
    時間がまだ十分あるので、外に出てあたりを探検する。
    といっても、初めての土地なので、下手に遠出は出来ない。
    ロータリーの公園を歩いて、鼓楼をもう一度見、人の流れに沿って歩いてみる。
    比較的高そうな賓館があったので中に入ってトイレを拝借する。
    そのあとは、何気ない顔をしてロビーで一服するのだ。
    冷房が効いていて涼むにはいいところだ。
    ドアボーイやメイドが不審な顔をする時もあるが、その時はさりげなく英語の単語を発して、外国人だと言うことをアピールしておく。
    これで、無問題だ。(笑)
    しばらく休んで、今度は、汽車站の出口から駐車場へ何食わない顔をしてはいる。
    朝食用に食べ物を買う。
    すると、どうも蘭州行きのバスがある。
    新しそうなバスだ。
    少々安心する。

    さて次は侯車室へ。
    ここで土産物を冷やかしたり、自分用のお茶を入れたりして時間を潰す。
    乗客の様子も観察する。
    ずいぶん、乗客の様子も違う。
    中国系もモンゴル系も少なくて、やはりウイグル系の良く日焼けした人々が多かったように思った。
    次に、どんなバスか偵察することにする。
    時間は早かったが、改札のベテラン女性にチケットを見せ聞いてみる。
    この辺は、お上りさん風に(ここは中国の砂漠のど真ん中の田舎だが)甘えてみるのだ。
    彼女たちは鉄道の女車掌と同じで疳に障るとこわい女性に変身するのだが、
    とても親切に、わざわざ離れた場所のバスの前まで連れていってくれた。
    ありがたい。
    予想通り、バスはヒョウのマークの付いた新型の中国製大型バス。
    トイレ付きだ。
    しかし、たぶんこのトイレは使用はしないだろう。(?)
    回りの中国の地方の主流のイベコバスやマイクロバスと比べるとずいぶん目立つ。
    他にも数台このバスが見られるが、少数派だ。
    運転手に、チケットを見せてアピールしておく。
    チケットをよく見ると座席指定だ。
    (チケットの「快客」は高速バスまたは上級バスの意味のようだ。)
    あとで、ミネラルウォーターを1本サービスでもらったのには驚いた。

    時間と共に、乗客が集まりだし、満員となった。
    よく考えると、中国のバスは満員になるとチケットは売ってくれない。
    窓口で「没有!」の声が返ってくるだけだ。
    早く、チケットを購入していて良かったとあとで思った。

    蘭州行き快客バスは銀州長途汽車站を出発した。
    まさに、未知の土地への出発である。
    少々緊張と興奮を覚えた。