Pisa の『死の勝利』 これはダンス・マカーブレ(死の舞踏)ではなかったですよね。 わたしの記憶では『三人の生者と三人の死者』の部分だったような。 チマブーエかジョットを思わせる端正な画面で、 生者の姿の三人が死臭に鼻をつまみながら 自分たちの死体を覗き込んでいるのが印象的でした。 ヨーロッパ美術の一つのパターンだと思うのですが 死者の姿を、やたら精緻に描こうとしますね。 ハンス・ホルバインの『墓の中のキリスト』にせよ グリューネヴァルトの『イーゼンハイムの祭壇画』にせよ 何か憑かれたように死を描写しようとしているみたいです。 たぶん黒死病の流行と無縁ではなかったでしょうが。 また教会にはよく石棺にトランジが浮き彫りになっていたりします。 脇腹を蛇が食い破ってたり、ウジ虫がいたり。 仏教の九相図みたいなものでしょうが、この種の表現は ヨーロッパの方が見かけることが多いように思います。 横道にそれて失礼。単なるゴタクです(汗)
Re: Pisa の『死の勝利』 そうなんです。私自身全然下調べをしていかないで見て驚きました。おっしゃっておられる三人の生者の絵だけでなくいわゆる地獄絵図もあり、かなり規模の大きいものでした。ピサというと斜塔のみというイメージがあったのですが、ちょっとした収穫でした。 こういう絵というものはヨーロッパのあちらこちらにありますね。パレルモにも有名な絵がありますし...。日本にも平安末期に流行した末法思想に基づく地獄絵図なども多々存在していますが、これと相通ずるものがあるのでしょうか。そう思うといろいろ調べてみたくなります。もちろんamoromaさんの足元にも及ばないでしょうけれど。 尚、聞くところによるとリストの曲、「死の舞踏」はたまたまピサで見た「死の勝利」から得たインスピレーションに基づいて作曲されたとか....これまたちょっと凄みのある曲ですね。 イタリアは不思議な国です。明るく開放的な面と陰鬱で残酷な面が彼らの文化には表裏一体で存在します。これこそ宗教のなせるわざなのか。あたりまえといえばあたりまえなのですが、そういったものに触れるとゾクゾクすることがあります。 ウフィッツィ美術館にあるボッティチェリの絵にしたところで、いわゆる「春」のように甘美で美しい絵から、晩年には病的で残酷な絵になっていく。サヴォナローラの影響によるものということですが、彼の心の中にある漠然とした地獄への恐怖がそうさせたのでしょうか。 本当に奥深いものですね。美術のお話、ありがとうございました。またお願いしますね。
Re: Pisa の『死の勝利』 amoroma さん、ありがとうございます。 インターネットで調べてみたのですが、amoroma さんが書かれたとおり、カンポサントの「死の勝利」は、「三人の生者と三人の死者」の逸話が描かれているようですね。 私は「三人の生者と三人の死者」のことは全く知りませんでした。(amoroma さんが書かれた作品は知らないものばかりです) 西洋絵画は、聖書やギリシャ・ローマ神話、また古典文学を題材にしたものが多く、元になっているストーリーを知っていて見ると、とても面白いですものね。 興味深いことを教えていただいてありがとうございます。