作家の阿川弘之さんが、老衰のため亡くなられた。
かって、私の初めての海外旅行で、ぐうぜん阿川弘之さんにお会いした。
それだけに、今も記憶にハッキリ残っている。
今から43年前の1972年の春、私の初めての海外旅行は、船旅だった。
この年、日本にやって来る最大の客船「キャンベラ号」に乗って、オーストラリアに向かった。
結婚してまだ3年目で、貧乏サラリーマンで20代の僕ら夫婦は、
必死に貯めたあった貯金を全てはたいて、一生に一度しかないだろう船旅に出た。
横浜~シドニー間は、途中は香港に立寄るだけの2週間の船旅で、
片道の船賃は、一等の一番安いクラスで、
1人につき大卒サラリーマンの初任給の6倍、夫婦2人1室で12倍だった。
横浜から乗船して2日目、まだ神戸~長崎間を航行中に、
フリーランチで偶然、阿川弘之さんと同じテーブルになった。
阿川弘之さんの息子さんと友人と、合計5人でランチを取りながら雑談した。
阿川さんは乗船体験だけなので長崎で下船し、
息子さん達は香港で下船するとのことだった。
そのときに挨拶で名刺を貰ったが、
阿川弘之さんが作家なんて、まったく知らなかった。
本を全然読まない私は、無知で全く知らず後になって分ったことだった。
あれから先、客船に乗る事は無かったけれど、
サラリーマンの現役中も、リタイアした今も、
何度も何度も、海外旅行に出かけている。
昔の一回目が、個人旅行だったので、
それ以降の30回以上のヨーロッパ旅行も、
全て個人旅行になっている。
何かにつけて思い出すのは、
阿川弘之さんに出会って、それから、
わが家の旅が始まっているな~!、と思う。
ご冥福を祈ります。