時々ここにも書いているけど、所用があってあずさに乗って甲府に行く機会が多い。そして甲府で駅から一分くらいの某地場ビジネスホテルを定宿にしているのだけど、なぜかこのホテル、最近は予約が取りにくくなった。私は楽天、るるぶ、最後の手として直ウエブサイト(地元のみのチェーン店なのだけど立派なウエブサイトを持っている)を見ているのだけど、刻々と変わっていくキャンセルを待たないといけなくなった。
先日、久しぶりにこのホテルを取ることができた。甲州ワインを一本半くらい飲んでやや危ない足取りでカウンターに行くと、中国語が聞こえる。このホテルに泊まり出してから、三年くらいになるが、相当昔から中国人と仲良く朝ご飯を食べる東京のホテルと違い、日本人しか見たことがなかった。チェックインの時に朝ご飯を食べたいので食券を売って欲しい、と言うと、「中国からの団体のお客様で7時頃は混むので、8時過ぎにいらしてください。」誰が中国人の団体客のために朝飯の時間をずらすものか!酔った勢いもあって、最近、予約が取れないのは中国人のせいなのか?と切り出した。
中国人のお客様に泊まってもらうことは社命となっています。と、そのカウンターの人は話し出した。私はそもそもの疑問をぶつけてみた。「大体、甲府なんか見るところもないのに、こんなところに泊まって彼らはどこに行くんです?」「富士山です。」・・・これは意外な答えだった。話を聞くと富裕層は自分たちで河口湖とかの近いところの宿を押さえてしまっていて、富士五湖近辺に泊まるところはない。なのでツアー客は甲府とか、遠いところだと長野県内に宿泊して、バスで5合目に向かう、とのこと。甲府から富士山、と言うとぱっとイメージが湧かないがそんな状況なんだ・・・とやや酔いが冷めてきた。
翌日、「ツアー客の中国人」というフレーズを思い出しながら、朝7時に食堂に行ってみた。中国人客が列を作っている。・・・ここの朝食ビュッフェはちょっと特殊で、私も東横インからリッツ・カールトンまで一通りホテルの朝食は食べたことがあるが、失礼ながら「国際水準」には程遠い。さすがに中国人と言えども、ここの朝食を食べてくれと言うのはなかなか厳しい。・・・まずいとかいうのではなく、そもそもが日本人向けのメニューで、パンやジャムもおいているが、それは家で毎日トーストを食べる日本人向けで、アジア人も含めて外国人向けの配慮が全くない。当然、おかずに名前が付いている訳ではなく、ほうとうとか食べてもおいしいのだろうか。
ところが、である。お盆を持ったその団体客はおとなしく並んでいる。順番通りに(少しずつ)おかずを取って行って、山盛りにするわけでもなく、各自席について、「日本風」に食べている。添乗員にかなり厳しく言われているのか、こんなに静かに食べる中国人客は初めてである。おもしろいのはみんな納豆を一つずつ取って食べていること。中国では納豆がブームで日中のメーカーが入り乱れて、増産に力を入れている、というニュースをみたことがあったが、彼らにとっては必食のようで、納豆がどうだ(なっとうの部分の発音はほぼ同じ)と隣の人と確認しながら、食べている人もいる。普段の日本人だけの時は、あんなに納豆を食べている率は高くないのに。しいて言うと、今日はたまごかけご飯用の生卵が置いてないのだけど、あれは、何か配慮があったのか・・・
ということで、依然として私の予約に対して邪魔な存在ではあるのだけど、だいぶソフィスティケイトされた中国人団体客もでてきたのかなあ。
とはいえ、きのうの新宿の某薬局では「この目薬を200個、こちらのサプリメントを300個ください。取り置きだったら先にお金は払います。」というきれいな日本語でオーダーしているきれいな中国人女性客がいた。こちらも少しは進歩しているのかもしれない。